相手の言葉が真実でないことなどお見通しである。
シニアは長い人生経験で人間関係の甘いも酢いも噛み分けている。
しかし、しかしである。
ウソと解っていても優しい言葉を掛けられたい。
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若い頃は理解できなかった老母の気持ち
「何もいらんねん。年寄りは優しい言葉を掛けてくれるだけで嬉しいんや。」
「口だけで上手いこと言ってるだけでもいい。」
と、母はよく言っていた。
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私は
「そんなふうに思ってるから欺されるねん。」
「お世辞やウソで優しくされて何がええねん。」
「白々しいこと言われたら腹立つわ。」
と思っていた。
私は若かった。
仕事や恋愛の失敗や寂しさも、心の傷さえも、若さで跳ね返せた。
しなやかで強い体と心がどんなことも修復していく。
ウソや欺瞞を寄せ付けない傲慢さがあった。
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店員の言葉を真に受けて
「よくお似合いですわ。」
「お客様なら、このお着物を着こなされると思っていました。」
なんて言われて高価な着物を買ってしまって後悔。
ネイルをしていない洗剤で荒れた手に似合うはずもないのに、
「お似合いですわ。素敵。」なんてカラーストーンの指輪を薦めてくる店員
解ってる解ってるお世辞の営業トーク。
でもでも気持ちいいーと感じるこの頃である。
私を褒めたり、面白いジョークで笑わせたり、いろいろ気を遣ってくれる。
散々楽しませて貰ったから少しお金を使っても良いかと思わせてくれる。
淋しいとき、気分が滅入るときには、
ウソパッチの営業トークでも聞きたくなる。
なんてこった!
典型的な鴨られシニアではないか。
情けないとは思うが、そのときは気が晴れてまた頑張ろうと思うのである。
心が渇きやすくなった
50歳を過ぎて更年期に狼狽えてるうちに50代も後半。
衰えていく容姿にあらがい、無駄とも思える努力をしたり、
新しい仕事や趣味にも挑戦した。
いろいろなことに心を向けていか無くては心がカラカラになりそう。
毎日、心の花に水をやろう。
恋もいっぱいしよう。
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なんて心は自由なんだろう
心の渇きには恋が一番の潤いになる。
恋をいっぱいするのだ。
心の中は自由だ。
現実にはあり得ない若い男も恋人にしてしまうのだ。
フィットネスのマッチョなトレーナー、銀行員、証券マン、ショットバーのマスター、
イケメン美容師、いっぱい居るではないか。
甘い営業トークを自分勝手に意訳して、心の渇きを潤す。
今日も朝から、夫には内緒で心の中で大恋愛を繰り広げる。
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