主婦の私はパートタイマーで稼いだお金を全て預金しておいて投資に回している。
今よりはまだ事故物件の話題が少なかった10年前の話。
少ない資金しかない私は競売物件しか買わないと決めている。
競売物件でも事故物件がたまに出る。
事故物件とは
不動産取引の対象となる不動産で 人が通常ではない理由で死亡した物件のこと。
通常でないとは殺人事件、火災や中毒などによる死亡事故、自殺。
孤独死の場合は孤独死した後すぐ発見された場合は当てはまらないが、しばらく経ってから発見され、警察が介入した様な場合は、心理的瑕疵があり事故物件。
私が競売で落札した事故物件
競売の調査報告書には次の通り書かれていた。
洋室において不自然死（正確な死因は不明。事件性はない。）が発生した。
これは近隣住民によってその臭気により発見された。
警察により遺体が運び出された。
現地再調査時では室内は家財道具類が無く空き室になっていた。玄関で少し異臭が感じられた。洋室では玄関口より少し濃い異臭が感じられた。未だその洋室のみ僅かに臭気が残っている。
この物件の所有者は数年前から借金苦で自宅マンションが差し押さえられ、
亡くなる1年半前からマンションの管理費も滞納している。
亡くなる半年前には競売の現地立ち入り調査が入っていた。
死因は不明だがこのような状態で孤独死は悲壮感がある。
入札に参加するのには少し躊躇いがあった。
しかしこの事故物件は都会の人気エリアにある駅近くのマンションだ。
都会的で高級感のある雰囲気からは事故物件特有の陰湿さは無い。
事故物件でなければ私にはとても手の届かない高嶺の花だ。
入札基準価格は相場の5分の1位ぐらいに設定されていた。
流石に事故物件だ。
さて、いくらで入札しようか？
事故物件だから入札者が少ないかも。
相場の3分の1位の金額で入札した。
改札当日、普通の物件よりは少ないが思ったより入札件数は多かった。
私の金額より高い人が2名いた。
最高入札額は明らかに桁間違い。
0が一桁多かった
次順位者から5千万円も差があった。
最高順位の人はきっと保証金を没収されても放棄するだろう。
数ヶ月後に再び入札が行われた。
前回の次順位の金額を参考にして金額を決めて入札した。
結果、私が落札することができた。
事故物件に初めて入室
所有権移転後に初めてそのマンションに足を踏み入れた。
鈍感な私には全く重たい空気や陰湿さ、誰かの視線などは感じることはなかった。
前所有者の悲劇にたいして同情心はあるが霊感はない。
異臭があると調査書に書かれていたが、遺体が腐敗していた洋室に入ってみるとわずかに異臭が感じられた。
その洋室には広いウォーキングクローゼットが併設されている。
そこに、遺体があったであろうと思われる。
床に寝転んでみた。
目を閉じて前所有者の生活状況や心情を想像してみた。
暫くそうしていた。
何かが降りてくるのをじっと待てみた。
もし幽霊という物があるのなら、今無防備でこうしている私に何かが来るのでは？
やはり私には霊感がない。
トイレを利用してみた。
問題はない。
風呂場は浴室乾燥機付きだ。
LDKに移動する。
床暖房になっていて豪華さにテンションが上がってしまい霊感をかんじるどころではない。
昼間の明るさに幽霊の出番はないのか・・・
この次は夜から来て泊まってみよう。
賃貸に出すつもりなので家主の責任として怨念確認はしておくべきだ。
事故物件にひとりで夜に寝てみた
バカバカしいと思いながらも夜に起こるかもしれない出来事を確認せずにはいられない。
食料と寝袋を抱えて夜8時くらいに入室。
窓から見える都会の夜景を楽しみながらビールを１本だけ開ける。
家具類は一切無いから床に食料を置いて座って食べる。
暇だ。
ひとりが段々寂しくなってくる。
もう寝るしかすることがない。
例の異臭がわずかに感じられる洋室に寝袋を持ち込む。
悪夢でも見るか？
目をつむったその瞬間。
玄関から男の声が・・・・
トントンと扉をたたく。
マジか？
取り敢えずリビングのモニターで確認しようとしたが壊れている。
仕方なく玄関扉のチェーンをしっかりしたまま開けてみた。
男が立っている。
「管理人ですが、所有者の方ですか？もう入居されているなら届出書をお願いします。」
なんだよ～こんな夜中に～
所有権移転後すぐでまだ管理会社に届け出も何もしていなかったので不審がられたのか。
この日も恐怖体験は起こらなく事故物件の怨念調査は終了することにした。
事故物件賃貸に出す
懇意にしている不動産屋に
「事故物件だから告知義務があります。家賃は相場の30％引きです。」
と言われたが私は
「いや、10％の値引きでお願いします。私が何度も一人で泊まって幽霊が出ないこと確認してるし、モノも良いですし。」
と押し切った。
狙い通り、直ぐに言い値で借主が決まった。
若い男の人で自分で会社経営をしている。
独身だったけど入居から2年後に結婚して更に1年後お子さんにも恵まれた。
なんと縁起の良い物件ではないか。
ま と め
事故物件は相場より半値で購入することが出来き美味しい。
購入前は不安があったが心霊現象は起こらないことを身をもって確認して安心した。
入居者にも「こんな好い物件を安く借りられて嬉しい」と喜ばれた。
不動産投資は人気エリアで駅チカが1番だ。
事故物件かそうでないかは2の次だと解った。
10年以上たった今でも大島てるのサイトに事故物件として掲載されているが、入居者が入れ替わるときもすぐに決まる。
家賃も今では相場にしている。
事故物件を買ったことに後悔はない。
にほんブログ村
コメント